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トップインタビュー信州

食品

株式会社 藤正

代表取締役社長  藤森修一氏

■業界の概要と企業の概要

藤森社長

国内の海苔の消費量は、家庭での消費から、コンビニエンスストアのおにぎりや回転ずし、総菜を始めとする中食や外食の業務用としての消費が主流に。
国内需要が人口の減少に伴い減少傾向にあるなか、海外では日本食への関心の高まりと共に、その需要が増えている。
藤正は業務用を中心に展開しており、
「円錐型手巻き寿司用海苔」の特許を強みに、海外市場の開拓にも力をいれている。




■事業と強みと今後の展開

「海苔」と「諏訪」の意外な歴史

海のない長野県の諏訪で、海苔の加工と卸売事業を行うことを不思議に思う方も多いのですが、実は「海苔」と「諏訪」には深い関係があります。

古くは江戸時代初期から、作物が育たず仕事のない冬の諏訪から多くの若者が、浅草に丁稚奉公に行っていました。海苔は冬しか収穫できず、産地の浅草では労働力が不足していたからです。やがて諏訪から出稼ぎに行った者がそのまま浅草に残り、海苔の加工や卸売を本業にするようになり、浅草の海苔業者の3分の2が諏訪出身ということもあったそうです。

そうした背景から180~190年前の諏訪には、すでに海苔の職業団体がありました。意外かもしれませんが、「海苔」と「諏訪」には深い関係があるのです。

韓国産と中国産の原料を仕入れられることが強みに

藤森社長

日本の海苔の生産量は生産者の高齢化もあり年々減少し、さらに温暖化による海水温の上昇も影響して、価格も高騰しています。そこで弊社では、韓国産や中国産の海苔を輸入し、原料の確保をしています。

海苔を原料として輸入するには、国内の生産者を守るために一定の条件をクリアする必要があります。そのため中国と韓国の両方から輸入を認められているのは、国内の500社近い業者のなかでも、弊社を含めて10社ほどしかありません。その多くは大手企業ですが、弊社では早い段階から「いずれは輸入をせざるを得ない状況になる」と想定し、中国での合弁会社を設立するなど準備を進めていました。

国内産の海苔は、産地のブランドや等級がありますが、海外の海苔はそのようなブランドや等級がなく、いいグレードの原料も混ぜて作っています。どちらがよいということはないのですが、たとえば韓国産は品質が均一化されているため、業務用には向いているという一面もあります。

このように海外の仕入れ先を確保し、安定してよい原料を仕入れられることが弊社の強みです。

特許を取得して海外へ積極展開!

藤森社長

もう1つの強みが、海外展開です。人口減少と高齢化から、国内市場の頭打ちが予想されるなか、弊社では早い段階から海外展開を視野に入れていました。しかし、大手企業ではありませんから、海外で勝ち抜いていくには差別化が必要です。その差別化が、「特許」でした。

私は高校卒業後、アメリカの大学に4年間留学していました。当時は、今ほど寿司が海外に広がっておらず、東海岸に寿司屋ができ始めた程度。国内でも海苔がパリッとしたまま食べられる包材を使ったコンビニおにぎりが広まり始めた頃でした。

そのコンビニおにぎりの包材を見ながら、「アメリカでもお寿司が食べられるようになるならば、手巻き寿司の海苔をワンタッチで作れる包材があったら、より手軽に楽しんでもらえるのでは」と思っていました。

そんな思いから開発を始め、1993年に冷凍おにぎり用包装資材の特許を、そして2009年に円錐型ワンタッチ手巻寿司の特許を取得しました。ワンタッチ手巻き寿司の特許は十数ヵ国で取得しています。特許を取得しても生産ラインに反映し、製品化するまでは時間がかかりましたが、ドイツのレストランなど小さなところから始まり、ここ10年くらいで海外での売上が全体の15%になるまでに成長しました。

海外で高まる日本食人気を追い風に

藤森社長

海外における日本食の人気は、高まる一方です。特に最近では、コロナ禍でテイクアウトの需要が高まった際に、テイクアウトしやすくて美味しいおにぎりへ注目が集まり、フランスやドイツ、アメリカで消費が伸びました。さらに今は、世界有数の小麦生産地であるウクライナ情勢の影響で小麦が高騰しています。小麦とお米の原料価格の差に加え、パンを焼くより少ない熱効率で調理できるという点からも、おにぎりへの関心が高まっています。

こうした需要に対応できるよう、弊社では海外の食の展示会にも、積極的に出店しています。ブラジルは商社を通していますが、ドイツやフランス、アメリカは直で卸しています。大手企業ではないのに珍しいと言われますが、留学時代に学んだ語学が役立ち、中国やドイツ、アメリカ、フランス等の店舗と直接繋がる流通網を築いています。

国内市場だけでなく、海外でも高まるニーズに応え続けられるよう、海苔を通じてつながったご縁を大切に発展させていきたいと考えています。


■求める人材像は・・・

日本食文化を広めることにワクワクできる人に来てほしい

藤森社長


入社後はまずは現場で生産から営業までを経験し、知識を身に付けていただきたいと思いますが、弊社の仕事は、「日本食の文化、日本食の良さを海外に広めていく」ことに繋がっています。海外の人に日本食を知ってもらうこと、そしておにぎりや手巻き寿司を食べてもらうことに、喜びを感じられる人にぜひ来ていただきたいと思っています。






■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"

藤森社長

社長はアメリカの大学に留学されましたが、おにぎりやお寿司などの日本食がこれほどまでに海外で広まると思われていなかった当時は、「海苔屋が英語を話せても役に立たない」と言われたこともあったそうです。

しかしお話を伺うほどに、留学で培われた語学力や、国境や人種に関係なく「美味しく食べてもらいたい」と願うグローバルな国際感覚が藤正の事業発展の源だと感じました。

「手巻き寿司用の海苔は、ニューヨークのビジネス街(トランプタワー近く)で展開している1号店を始めとする3店舗で導入されています。このオーナーが熱心な方で、『自分はこの手巻き寿司で何とか成功したい。だからより早くお客様に提供できるよう、こういうのが作れないか』と、わざわざ諏訪まで依頼しに来たんですよ。
簡単ではなかったですが、その熱意に一緒になって改良をしました。こうして海苔を通じて海外の人と繋がることができ、その先に『美味しい』と食べてくれる笑顔がある。最高ですよ」

そう嬉しそうに語る社長。会社の玄関を入ってすぐの場所には、コロナ禍の際にそのニューヨークのお店が医療従事者に届けた「藤正の海苔で巻いた手巻きずし」を美味しそうに食べる笑顔の写真が飾ってありました。

※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2024年1月)

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