公益・特殊・独立行政法人
一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)
センター長 専務理事 岡田基幸 氏
■浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)概要
信州大学繊維学部構内(上田市)、上田市を拠点に企業のニーズと大学の研究開発のシーズを結びつけることを目的に2002年に設立。国立大学敷地内の産学官連携支援施設として、設立当時から全国的にも注目されている。
産学官連携の推進を促進するため、企業向けの講演会や見学会などを実施。企業支援の一環として、地域中小企業の人材確保・定着支援事業も行い、企業説明会やインターンシップ説明会などを主催している。
■浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)の特徴
地域の中小企業を様々な面から支援
ARECでは、主に企業のニーズと大学の研究シーズ、または企業同士の技術のマッチングにより、地域の産学官連携、中小企業同士の交流や新製品の開発支援を行っています。
また、地域の中小企業への就職・転職を促進する長野県の全県事業として、「地域人材バンクながの(※)」を、長野県中小企業団体中央会とコンソーシアムを組んで運営しています。
今、県内の中小企業は様々な意味で「過渡期」にあると感じています。高度経済成長期前後で起業した1代目の創業社長から、2代目に代替わりする時期で、新しい風土や組織運営、事業展開に向けて努力し、うまくいっている企業も出てきました。
企業に魅力があっても、魅力の発信の仕方がわからない、またはそれを人材確保につなげる方法がわからないという企業も多くあります。そうした中小企業を支援していければと考えています。
※注 「地域人材バンクながの」は中小企業庁の平成27年度予算「地域中小企業・小規模事業者UIJターン人材確保支援事業」に関わる事業となっています。
■雇用促進に向けた取り組み
女性・シニア層・UIJターン希望者に向けた就職支援を実施
特にARECでは、女性・シニア層・UIJターン希望者に向けた就職支援施策を企画し、その企画を運営する団体を支援しています。
今までには、信州若者1000人会議、シニア人材と地域の中小企業の交流会、就職相談会や、女性の再就職支援のためのセミナーなどを開催してきました。
長野県では北信、南信、東信、中信とエリア毎の情報発信や就職・転職支援も多かったのですが、ARECでは各エリアで活動する団体と協働で企画実施できることが増えてきました。
長野県全県の企業情報をカバーし、情報発信できるようになってきたので、県内の中小企業への就職・転職を希望する方にとっても、わかりやすく仕事を探せる環境が整いつつあると感じています。
「長野県で働きたい」と思ってもらえる魅力の発信へ
ARECの強みは、今までの産学官連携支援活動で築いてきた、地域の中小企業や行政とのリレーションや、中小企業支援のための企画力です。また、前述のように県内の中小企業が過渡期にあることや、安倍内閣が「地方創生」をスローガンに掲げていることもあり、企業も変革に前向きな風潮があります。
この強みと風潮を活かし、今後は「長野県ならではの魅力ある働き方」を企業と一緒に作り、発信していけたらと思っています。
「地域創生」「UIJターン支援」と言っても、地域の企業に魅力を感じられなければ人は動きません。その点で自然環境に恵まれた長野県の企業は、知名度や年収だけではない、「働き方」を魅力にして発信できる可能性を秘めています。
例えば、「山岳休暇」など山登りをするための休暇や、週休3日で趣味やワークライフバランスを優先する働き方ができれば、「それなら、長野で働こう」とUIJターンを促進することもできます。
働くことに対する若い世代の価値観は、多様化しています。だからこそ、様々な価値観に応える環境づくりを企業と共に行い、「長野で働こう」と思ってもらえる県にしていければと考えています。
■岡田センター長が感じる「上田市に住む・働く」の魅力とは?
自然のなかで職住近接...仕事もいい成果がだせるのでは
上田市で働く魅力は、何より職場と自宅が近く、通勤時間が短いことです。私の通勤時間も車で10分程度。都市部では満員電車で1時間から1時間半の通勤も珍しくないですから、往復2~3時間分、時間を有効に使えることになります。これを考えると、都市部で働くよりも1.2~1.5倍は働けるのではないでしょうか。その分を余暇に回せば、余暇も充実させることができます。
さらに、満員電車による疲れやストレスもないので、朝からパワー全開で仕事ができますし、集中力も違ってきます。この環境で働くことで、よりいい成果がだせるのではないでしょうか。
上田市は田舎ですが、東京にも近く、羽田空港などもそう遠くないと感じられる距離にあります。自然に恵まれた環境で、世界の動きも感じられる。その利便性と環境のバランスが、素晴らしいと思いますよ。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2015年11月)