大町市
商業労政課 商業労政係 兼 ブランド振興担当 高野礼子さん
■大町市概要
長野県北西部、松本平の北に位置する大町市は「北アルプス一番街」と呼ばれ、雄大な北アルプスに抱かれた街。
典型的な内陸性の気候で、四季を通じて山岳観光都市としての地勢を備えている。雄大な景観や清冽な水に育まれ、農林水産業、観光業、商工業がバランスよく発展していると言える。
■大町市の産業の特徴
海外からの観光客が増加し新たな雇用の需要も
大町市は立山黒部アルペンルートの長野県側の入り口にあたります。黒部ダムに加えて、大町温泉郷や仁科三湖(木崎湖、青木湖、中綱湖)、高瀬渓谷、国営公園、スキー場など、自然豊かな観光資源に恵まれており、年間およそ300万人もの観光客が訪れます。
観光客数はバブル経済期をピークに減少傾向にありましたが、外国人観光客のインバウンドに力を入れています。それに伴い、外国語が出来るスタッフのニーズなど、新たな雇用の需要も生まれています。
豊富な水資源を活かした産業を特色に
高瀬川をはじめとして大町市内には豊富な水資源があり、この水資源を生かした産業も大町市の特徴の一つです。具体的には、水力発電を活かしながら黒鉛電極を製造する企業や、清涼飲料水を製造する企業、半導体製品、電子部品素材メーカーなど、多種多様な企業が立地しています。さらには、北アルプスの清冽な水のイメージを活かした化粧品製造企業もあります。
北アルプスの山麓という地域のブランドイメージと、大町市ならではの豊かな水資源は、企業の誘致や産業の発展において大きな強みになると考えています。
■雇用促進・定住促進に向けた取り組み
(総務部 企画財政課 定住促進係 阪井昭啓さん)
子育て体験・雪道体験で「暮らし」がイメージできる支援を
大町市には、北アルプスの麓という他にはない自然の恵みがあり、移住先として興味を持ってもらえる要素があると思っています。このような移住先としての大町市の魅力を発信するため、東京・大阪・名古屋で年10回ほど相談会を開催しています。
また、「大町での暮らし」を体感してもらうために、現地でのイベントにも力をいれています。例えば、お祭りなど伝統行事への参加や、「子育て体験」として育児サークルや保育園・アフタースクールの見学会、他にも雪道や雪かきを体験してもらう体験会があります。また、移住を検討される方には「山が好き」という方が多いので、そうした登山好きの方と語り合えるよう、標高2450メートルの爺ヶ岳の山荘での移住セミナーも予定しています。
このような大町市内でのイベントも年に数回開催し、移住希望の方が「大町市に実際に住んでみたら、どんな感じなのか?」をより具体的にイメージできるよう支援しています。
「移住支援充実度ランキング」長野県第1位のまち
相談会や各種イベントを通じて大町市に興味を持った希望者の方には、定住促進アドバイザーを紹介しています。定住促進アドバイザーは、大町市に移住して数年から数十年経つ移住者で、移住についてのアドバイスや、移住後の暮らしの情報を提供してくれます。
市からアドバイザーを紹介された後は、市を介さずに個人同士で情報交換ができますので、移住後の就職先や住居、地域ネットワークの紹介など、移住の心強いアドバイザーになってもらえます。
このような生活体感型のイベントの充実や定住促進アドバイザー制度、子育て関連の各種助成金やマイホーム取得助成金などの制度もあり、大町市は「田舎暮らしの本」(宝島社)2014年9月号で「信州移住支援充実度ランキング」で1位に選ばれています。
今後も大町市に魅力を感じ好きになって移住してもらえる方を1人でも増やせるよう、情報発信に力を入れていきたいと思っています。
■移住者が大町市を選ぶ理由
(産業観光部 信濃大町地域おこし協力隊 稲澤そし恵さん)
街道沿いの宿場町には人を受け入れる地域性が
私は横浜からのIターンです。以前から移住をしたいと考えており、家族がウィンタースポーツ好きなこともあって、岩手県と長野県を候補地として考えていました。
様々な利便性を考えた結果、首都圏からさほど遠くないエリアにと思い長野県に絞り、県内の各地を検討していました。そして最終的に、「自然が豊かであまり都市開発されていない」「かといって、生活に不便でもない」「ウィンタースポーツが楽しみやすい」ということで、大町市を選んだのです。
また移住者にとっては、「地域に受け入れてもらえるか」も大きな問題です。その点大町市は、中世以前からある千国街道(松本市と糸魚川市を結ぶ塩の道)の中間地点で、交通の要所だったという歴史があります。昔から行き交う人を受け入れてきた街なら、移住者も受け入れてもらいやすいのではと思ったのです。
実際に移住してみても、正直なところ信州人は閉鎖的というイメージもあったのですが、違ったかなと実感しています。
市民講座が盛んで、まち全体が「文化センター」のよう
大町市は、市民活動がとても充実していると思います。市民講座も数多いですし、料理教室から川の清掃活動と、趣味から地域づくりの活動に関するものまで様々な市民団体もあります。珍しいものでは、鯉を飼っている方たちの集まりなどもあり、とても驚きました。
都市部のように高価な受講料を払って「○○教室」と畏まったものではなく、好きな人が集まってやっている感じなので、とても参加しやすいです。
趣味人が多く、ちょっと好奇心のアンテナを貼れば、様々な活動や地域の人に出会うことができます。まち全体が「文化センター」みたいで、余暇に多くの文化活動も楽しめるのがいいですね。
■担当者が感じる「大町市に住む・働く」の魅力とは?
(産業観光部 信濃大町地域おこし協力隊 稲澤そし恵さん)
アウトドア、畑、温泉と楽しむことには事欠かない
4月にも雪が残る北アルプスは本当に美しく、水道水でさえ美味しいのはとても魅力だと思います。現在は畑を借りていますので、週末には畑仕事もありますし、市内には温泉郷もありますので畑仕事で疲れた体を温泉で癒すこともできます。
スキーやスノーボードなどウィンタースポーツはもちろん、木崎湖など仁科三湖でのウォータースポーツや釣り、トレッキングなどアウトドアには事欠かないので、外に出るのが嫌いでなければ様々な活動を楽しめる街だと思いますよ。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2015年8月)