須坂市
産業振興部 産業連携開発課 雇用促進係長 坂詰史博さん
■須坂市概要
県下有数のりんご・巨峰の産地、須坂市。江戸時代には武士が集まる須坂藩の陣屋町だった須坂市は、関東へ物資を運ぶ大笹街道の拠点として発展。明治時代に製糸業が発展し、当時の面影が「蔵の街並み」として残っている。
その後、製糸業は衰退したが、第二次世界大戦中の工場疎開を機に工業の街へと変遷していった。
また、長野県が健康長寿日本一である要因の1つとして注目される「保健補導員制度」は須坂市が発祥の地で、県内の市町村に導入されていった。
■須坂市の産業の特徴
企業城下町として発展。周辺都市のベッドタウンとしても好立地
戦後の須坂市は富士通須坂工場を中心に、企業城下町として発展しました。現在では携帯部品などの電子部品だけでなく、電気機械、金属、食品など多種多様な業種の工場が立地しています。
また、長野市や千曲市、上田市など周辺の都市部にもアクセスがよいという利点もあり、生活する上での利便性も高いため、「仕事は周辺の都市部で、住むのは須坂で」という方も非常に多いです。
周辺地域を含めて通勤エリアとして検討できるため、仕事の選択肢が比較的多いのが須坂市の特色です。
盛んな果樹栽培を活かし、農産物を「須坂ブランド」として
りんご・巨峰の生産高が多く、プルーンの生産高は日本一になったこともあり、果樹栽培が非常に盛んです。近年では、ブドウの新たなブランド品種として注目されている「ナガノパープル」(須坂市にある長野県果樹試験場で育成)の生産にも力を入れています。さらに果物を加工したジュースやワインなどの食品加工・食品製造業も須坂市の産業の特徴といえます。
■雇用促進・定住促進に向けた取り組み
(総務部政策推進課 信州須坂移住支援チーム 係長 加藤広明さん)
「ゆめわーく須坂」ではキャリアカウンセラーが就業支援
須坂市では、就業支援センターとして平成17年から「ゆめわーく須坂」を開設しています。ここでは、ハローワークの求人紹介、就業相談やキャリアカウンセリングの他、ビジネスマナーや英会話、ipadの活用法やワード・エクセルの講座など、社会人のスキルアップにつながる多様な講座をご案内しています。
「ゆめわーく須坂」には独自の求人もあり、無料職業紹介も行っており、キャリアコンサルタントの資格を持つ専任のカウンセラーによるプロの視点からのアドバイスをもらうこともできます。
移住を考える方もご利用いただけますので、UIターンを考える方にはぜひご利用いただければと思います。
移住応援サイトやFacebookに相談会と須坂情報を発信
移住支援の本格的な取組みは、昨年4月に移住支援チームが立ち上がったばかりです。
移住先として人気が高い長野県内でも、須坂市は移住先としての情報をあまり発信していませんでした。そこで昨年から、長野県が開催する相談会(ふるさと回帰支援センターなど)、移住応援サイト「スザカでくらす」の開設、須坂のスーパーや病院など地域の暮らしを体験できる1日ツアーの実施、Facebookの活用などを通じて、積極的に情報発信をしています。
他にも「地域おこし協力隊」が空き家バンク担当として、移住者の視点での案件拡大と情報発信などを行っています。
活動開始当初は認知度も低い状況でしたが、今年度に入り、須坂市に興味を持って相談会に何度も足を運んで下さる方や、長野市や小布施町への移住を考えていた方が須坂市も選択肢にいれて下さるなど、変化を感じるようになりました。
今後は移住アドバイザー制度の整備も視野に、更なる移住支援施策を進めていく予定です。
「働く」「生活する」に利便性の高い街として
移住を考えた時に重要なのが、「仕事」と「住む場所」です。須坂市は市内だけでなく、長野市など周辺都市へのアクセスもよいのでベッドタウンとしても機能し、就職先を比較的探しやすい環境にあります。例えば、仕事は長野市、住居は須坂市とすると住居費も安く、自然と触れ合いながら子育てをすることができます。
観光地や、移住先として人気の高い小布施町にも車で10~15分程度です。須坂市の小布施町に近い地域に住めば、住居費もより安く済み、小布施町の雰囲気をより身近に楽しむことができます。
須坂市は東京や新潟などにもアクセスが良く、「海なし県」の長野とはいえ、日本海まで1時間程度の距離にあります。移住先としての須坂市の認知度はまだまだですが、「働く」「生活する」という点では多くのメリットがあるので、様々な機会での情報発信を通じて、より多くの方に須坂市を知って頂ければと思っています。
■移住者が須坂市を選ぶ理由
市外からの利用者も多い充実した子育て支援環境
市内には4か所の子育て支援センターがあり、いずれも駐車場や利用料が無料のため、市外からも利用者が訪れます。
また、市内10か所の保育園は全ての園舎で耐震工事がなされ、立て直されています。多くの保育園が畑の中にあり、自然と触れ合う活動が多く、どの保育園も解放されて、乳幼児とお母さんが利用しています。
小学校も地域公民館や児童館が併設されているので、安心して児童館を利用することができ、共働きしながら子育てしやすい環境だと思います。
■担当者が感じる「須坂市に住む・働く」の魅力とは?
遊ぶ・働く・住む・育てる...すべてに利便性のある環境
須坂市は、長野市へ車で15~20分程度、小布施町も近く、ウィンタースポーツや登山をするにもアクセスのよい場所にあります。有名観光地へのアクセスは非常によいですが、須坂市自体は市内や日々の生活で渋滞に悩まされることもなく快適に過ごせます。
利便性の高い都市部では、木に登ったことや畑で土をいじったことのない子どもも多いと聞きます。働くにも遊ぶにも困らない利便性の高い生活をしながら、土や木に触れ、川遊びをしながら子どもを育てることができるのが須坂市の良さだと思います。
地域に残る小学校や保育園で子育てがしやすい
昨今では保育園や小学校の統廃合が進んでいる地域もありますが、須坂市では統廃合をせずに施設を小規模にする等の対応で、地域に保育園や小学校を残しています。人口規模を考えると通常の倍くらいの数の保育園や小学校があり、その分小規模な保育や教育が実現しています。
そのためどこに住んでいても、最寄りの保育園へ車を運転して5分程度で送り迎えができます。パートで働く場合でも、長野市も含めて多くの求人から検討できますので、共働き支援という意味でも子育てがしやすい街だと思います。
新鮮な野菜や果物と保健補導員制度で健康に長生きできる街
須坂市に移住された方からは、「新鮮な農産物がおいしい」という声を聞きます。果樹も多く、JAの直売所だけでなく、スーパーにも地元野菜の直売コーナーがあり、また無人の野菜販売所も多くあります。このように新鮮な野菜や果物が豊富なことは、須坂市の魅力の1つです。
また、「保健補導員制度」により、市内では健康増進のための様々な活動が行われています。健康教室や高齢者サロン、子育て広場での栄養指導などがあり、「長野県・須坂エクササイズ」の本も発行されているほどです。
新鮮な野菜や果物に恵まれ、健康を支援する盛んな活動もあり、須坂市は日本一の健康長寿・長野県のなかでも「要介護認定率」が著しく低いのが特徴です。健康に長生きできる環境も須坂市の大きな魅力の1つですね。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2015年8月)