総合電機
株式会社西澤電機計器製作所
代表取締役 西澤孝枝 氏
■業界の概要と企業の概要
製品の企画開発から製造・販売まで、一貫したプロセスでものづくりを行っている西澤電機計器製作所。計測器、健康・福祉機器、医療機器の領域のニッチ分野に特化し、トップシェアを誇る製品を持つ。
オリジナリティ溢れる新製品開発力で、「自動ページめくり器」「発汗計」「拡大読書器」などの健康・福祉機器を開発し、製品を通じて広く社会に貢献。その製品力は高く評価され、日本品質奨励賞、デミング賞、ロボット大賞、グッドデザイン賞など多くの賞を受賞している。
■事業と強みと今後の展開
電気計測器メーカーから更なる強みを持つ企業へ
弊社は日置電機株式会社様の協力会社として、指示電機計器の製造からスタートしました。その後、幸運にもメーカーとして自立出来、「NISHIZAWA」ブランドの電気計測器メーカーとして歩んできました。代表的な製品である「キットテスター」は、全国の工業高校向けに7割のシェアを持っております。
しかし、少子化に伴いこのニーズが減少していくのは明らかです。そこで少子高齢化の時代が到来すると言われ始めた2000年に、先代社長が今後の戦略を考えて「これからは計測器に次ぐ第二の柱として医療、健康、福祉機器の分野で戦う」と宣言。そこから、電気計測器メーカーから更なる強みを持つ企業への体制づくりがスタートしました。
「自動ページめくり器」で福祉機器メーカーとして第一歩を
1本目の事業の柱は電気計測器で、「NISHIZAWA」ブランドとして、絶対的な品質を守っていかなければなりません。全従業員が、高い意識を持って取り組んで安定した品質が確保できる体制はできております。
そして2本目の柱が、医療・健康・福祉機器です。この分野では、まず製品のシーズを探すため、信州大学繊維学部の中沢研究室のドアを叩きました。そこで出会ったのが、「紙の一枚分離機構」という技術です。この技術と、相田みつを氏の詩集の「ページをめくってくれる人がいないと、ずっとそのページを読んでいました」という一説から先代社長がインスパイアして、2005年に自動ページめくり器が生まれました。
この医療・健康・福祉機器領域では、「人生に喜びと感動をプラスする」という意味を込めた、「LIVE+PLUS」というブランドを立ち上げました。それ以後、発汗計の製造販売会社もを買収し、福祉機器メーカー、医療機器メーカーとして歩み始めたのです。
2000年に宣言し10年で医療・健康・福祉機器メーカーへ
この「自動ページめくり器」は、2008年に経済産業省主催の「ロボット大賞」で最優秀中小・ベンチャー賞を受賞し、注目を集める製品となりました。その後福祉機器分野で販路開拓が進むうちに、お客様から「ページをめくるだけでなく、拡大機能をつけてほしい」というニーズを頂きました。
その声に応えるため、拡大して読書ができる技術を持っている会社を探し、出会ったのが(株)ナイツでした。当時のナイツ社は、シェアNO.1の拡大読書機器メーカーでしたが、採算の問題でまさに撤退しようとしていました。
先代の父が、病で一夜にして盲目になるという経験を持っていましたので、目の見えない方に対する思いが人一倍強くありました。そこで「撤退したら、今までのお客様はアフターサービスがなくなってしまって困るはず」という強い思いで買収に向けて動き、多くの課題を乗り越えてそれが実現しました。
この医療機器を製造するナイツ社の買収によって弊社も医療機器メーカーとなりました。2000年から10年かかりましたが、宣言通りに「医療、健康、福祉機器の分野で戦う」という事業体制が整ったのです。
他社や個人と連携しながらニッチ領域のトップシェアを狙って
今後はナイツ社の技術を武器に、まずはルーペ市場を戦略的に攻めていきたいと考えています。弊社には手術用の光源として日本一明るいという強みを持った製品があります。ルーペ市場は非常に大きな市場ですので、弊社も国内200社、海外70か国の販路を武器に世界の市場で戦っていく予定です。
もう1つの柱は、拡大読書器です。競合他社は全て海外製品です。そのなかで弊社は、「縦読みでも読みやすい」「生協の注文書が書ける」など、日本製ならではの機能に特徴があります。ユーザー様にはとても喜んでいただいておりますので、製品の良さを多くの方に知っていただき、この分野でのトップシェアを狙っていきます。
これからの開発に関しても、ニッチな領域でトップシェアを獲得できるオンリーワン製品で、社会貢献していきたいと考えています。
ただそのためには、中小企業が1社で取り組んでいくことには限界があります。私のテーマは「連携」です。産学官連携だけでなく、県下で素晴らしい技術を持つ他社や個人の方と連携することで、社会の役に立つ製品を送り出していきたいですね。
■求める人材像は・・・
高い目標にチャレンジして成長する環境づくり
人材育成では、「高い目標を与える」ことを意識しています。私自身、先代社長から中小企業が取得するにはまだ早いと言われた国際規格のISO9001やISO140001、OHSAS18001の取得という高い目標を与えられ、チャレンジする中で成長させてもらってきました。
また同様に「拡大読書器」の開発にリーダーとして関わってもらった百瀬(※キャリアインタビュー参照)も、非常に大きな課題と高い目標に挑戦して見事に達成し、大きく成長してくれました。
一見無理だと思えるような「高い目標」は、挑戦することで大きく人を成長させます。ですから、今後も従業員に対しても高い目標を与え、そのハードルを越えてもらうことで人材が成長する環境を作っていきたいと考えています。
製品そのものが社会貢献。今後は世界各国の市場へ
当社の製品は、製品そのもので社会貢献ができます。完成品メーカーとしてものづくりの面白味も、ユーザー様に直接触れ合えるという喜びもあります。そしてそのユーザー様は日本だけでなく、世界各国に広がっています。
例えば、ロンドンの展示会ではブラジルからわざわざいらっしゃったユーザー様がいました。その方は、「30年前に父親が買った西澤のこの製品がとてもいい。直して使いたいけれどメーカーなら直せるか」という思いで、飛行機代をかけて飛んできてくれたのです。長年愛用してくださった製品への思いに触れ、本当に感動いたしました。
今後はさらに世界市場への販売を強化していきたいと考えています。「高い目標」に向け、一緒にチャレンジしていきましょう。
■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"
若手の女性社長としても注目されている西澤社長。三姉弟の長女として、以前から「後継者」として鍛えられてきたようです。
「以前から『お姉さんなんだから、お前が継げ』と言われ、どこに行くにも誰に会うにも必ず同行させてもらっていました。本当は弟に、と思って固辞していたのですけどね(笑)。
でもおかげで、先代がどんな領域で、どんな戦略でどんな花を咲かせようとしていたのかを一番近くで見させてもらいました。その花を今後咲かせていくのが、私の役目です。」
「まだまだ、高い目標」と西澤社長が語るその市場には、非常に大きな可能性が広がっています。例えばルーペ市場では、中国の北京では7~8階の病棟が全て眼科。そこに200名の眼科医がいて患者が行列を作っているという状況だそうで、さらにロシア、シンガポールでも売上が伸びているようです。
社会貢献度の高い製品づくりをし、世界各国へ展開する。企画・開発力だけでなく、通常の中小企業では開拓が難しい海外販路も持っている。こうしたリソースを持つ環境でものづくりができることが、西澤電機計器製作所ならではの面白さややりがいに繋がるのだと感じました。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年12月)
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