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ホテル・旅館

スターツリゾート株式会社(ホテル清風園)

取締役 統括総支配人 兼 ホテル清風園 総支配人  勝野雅光 氏

■業界の概要と企業の概要

80余年の歴史がある旅館・清風園は、2007年から東証一部上場企業のスターツ・コーポレーションのグループ企業であるスターツリゾートが運営している。

資本投入によって施設の改修が進み、サービスや料理の質も改善され、利用客からの評判も向上。大手旅行代理店サイトでも、「また泊まりたいホテル」「清潔感があって食事もおいしく、ゆっくりとした非日常を過ごせた」と非常に高い評価を得ている。

■事業と強みと今後の展開

スターツのグループ企業として、積極的な改装が可能に

旅館業界という大きな括りでいうと、今は難しい時代といえます。清風園もそうでしたが、かつては多くの旅館が団体旅行需要に頼っていました。しかし今、旅行の志向は、個人旅行にシフトしていますので、その切り替えができないと厳しい状況に陥ってしまいます。

また、「家業から企業へ」とも言われており、資金繰りや運営などの面から、従来の家業としての旅館経営から企業経営への転換も迫られています。

その点、清風園は今年9月に東証一部上場を果たしたスターツのグループ企業ですので、資金繰りの心配もありません。グループ入り後は毎年改装ができるようになり、従業員満足度の面でも企業として対応できる幅が広がってきています。

特に改装については、資金面のメリットはとても大きいですね。施設は、歴史的な風情や趣がある場合でない限り、手を入れていかないと陳腐化してしまいます。そうなると、お客様の満足度も低くなります。今はお客様の目も肥えていますので、施設のメンテナンスはとても重要なのです。

和洋室や「第3の寛ぎ空間」などシニア世代ニーズを施設に反映

清風園では、ここ数年で建物の改装を全面的に行いました。そして別館清流亭では、2~3階を通常の和室、4~5階の上層階を「ツインベッドと和室」の和洋室タイプにしています。

旅館というと布団のイメージがありますが、お客様の多くはシニア世代です。今のシニア世代は、ご自宅でもベッドを使用しています。起きて立ち上がるときに、布団よりもベッドのほうが楽ですから。それを考慮して、当園でもベッドの数を増やしました。そのベッドも、寝心地の非常によいことで定評のあるブランドのものを導入しています。

これだけベッドの部屋を持っている旅館は、この周辺では少ないでしょう。それが差別化の1つでもあります。

また、エレベーターホールの拡大や、ライブラリーの新設など、部屋やお風呂だけではない、「第3の寛げる場所」を設置したり、個室の食事会場を作ったりと、お客様のニーズに合わせた改装を行っています。

このようにお客様満足度に繋がる施設の充実・改修は、今後も随時行っていきたいと考えています。

グループの旅館やホテルで研修。サービスの幅と人脈を広げて

もちろん、施設だけでなくサービスも重要です。そのための人材育成にも力を入れています。

新卒採用は毎年行い、東京でスターツグループ全体の入社式を行った後、1週間の研修を行います。姉妹旅館である日光の柏屋と合同で、今年は柏屋、来年は清風園と毎年交互に泊まり込んで研修をし、お辞儀の仕方など接客の基本を学んでもらいます。

その後3か月間は、皿洗いや客室の掃除、風呂掃除など旅館の仕事を全て経験し、3か月後に本配属となります。

既存スタッフにも、スターツグループで運営している新浦安のホテルエミオンなどで1週間研修を行っています。違う職場を経験することでサービスの幅も広がり、同じグループ内の人脈も広がります。それが現場でのサービスの向上に活かされると考えています。

ホテルのランチコースで、コース料理体験の研修も

また中には、日本料理のコース料理を食べた経験のない若いスタッフもいますので、新人スタッフにはホテルの日本料理のランチコースを食べに行く研修も用意しています。先方にも「研修に行きます」と伝えて、料理長や接待長やトレーニング担当の中堅クラスのスタッフも同席します。同期だけですと、「美味しかった」で終わってしまいますからね(笑)。

その後もきちんとレポートを書いて、日本料理のコース料理について体感して学んでもらいます。

弊社の研修費用は少なくありませんが、清風園・柏屋ともに旅館経営が黒字になっているからこそ研修にも力をいれることができます。サービスは「人」ですから、人材育成は重要です。そのための研修機会はもっと作っていきたいと考えています。

施設、料理、サービスと全体のレベルを上げて顧客の拡大へ

旅館で大切なのは、「施設、料理、サービス」と全ての面をバランスよく質の高いものにしていくことです。

正三角形の3つの頂点を「施設、料理、サービス」とすると、その三角形の中に描ける円がお客様のボリュームです。この正三角形のそれぞれの頂点である、「施設、料理、サービス」のどれか1つでもレベルが下がると、正三角形は崩れてしまいますよね。すると中の円も小さくなりますから、お客様が減ってしまうということになるのです。

だからどれか1つに注力するのでなく、「施設、料理、サービス」と全体を高め、三角形を大きくしていくことが大切なのです。

「お客様満足度アンケート」で90点以上の、「極上の旅館」を目指して

そのために指標にしているのが、JTBの「お客様満足度アンケート」です。回答母数も多いので、業界の中でも圧倒的に信頼度が高く、100点満点で点数化されているので、評価としてわかりやすいのが特徴です。

この「お客様満足度アンケート」で90点以上を獲得すると、JTBの公式サイトで「極上のおもてなしのおすすめ旅館」として掲載されます。さらに全国のJTBカウンターで「おすすめの旅館」として、スタッフがお客様に勧めてくれます。

私の赴任当時は80点位でしたが、施設だけでなく、サービス面、料理面にも力を入れ、今は89点になりました。このアンケートで90点以上になることを、今スタッフと共に目指しています。

施設にも随分手を入れてきましたし、サービスや料理の評価も上がってきています。年に4回集計されるアンケートのうち、時期によっては90点を超えるようにもなりました。今後は通年で90点を超える旅館になっていきたいですね。

■求める人材像は・・・

旅館業はバラエティに富んだ仕事です

旅館の仕事は、取っ付きにくいイメージがあるのか、仕事が大変そうなイメージがあるのか、求人募集をしてもなかなか応募がありません。 しかし、旅館業は本当にバラエティに富んだ仕事です。接客が好きで、少しでも興味があれば、ぜひチャレンジしていただきたいです。

必要なのは、元気良く明るいこと。きちんと挨拶ができること、ととてもシンプルです。現在、年齢バランスにバラつきがあり、特に30~40代が少ないのでその層を積極的に採用していきたいと考えています。

■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "総支配人"

勝野総支配人は、東京の大学を卒業後、ホテルニューオータニへ就職。その後、大阪、神戸などでホテル開業の立ち上げを経験されてきました。

スターツグループへ転職後も、ホテルの立ち上げを数件手掛けるなど、いわばホテル開業のプロフェッショナル。そんな勝野総支配人に、ホテル業と旅館業の違いを聞いてみました。

「ホテルと旅館は似て非なるもの、ホテルの常識は旅館の常識ではありません。私は旅館業を知らなかったので、いろんな現場で、現場スタッフと一緒に汗を流しながら多くを学んできました。しかし、旅館の現場で『当たり前』ということでも、私からみると『もっといい方法があるのに』と思うことも多く見つかったんです。」

「例えば、駅の車での送りです。お客様は電車を利用されるので、電車の出発時間を考慮した時間がお客様には都合がよいのですが、送りの時間は電車の出発とは全く関係ない時間になっていました。これをお客様目線の送り時間に変更しました。

他にもちょっとしたことですが、朝食のバイキングで全てのテーブルに箸を置いていました。これでは、全部のテーブルの箸を補充するという仕事が必要になります。しかし、箸をバイキングのトレーやお皿の場所に1か所に置けば、その仕事をなくすことができます。」

このようにホテル業界出身の勝野総支配人の経験は、清風園のサービスや業務効率の向上に繋がりました。

「JTBお客様満足度アンケート」の集計結果は年4回発表され、90点以上の旅館は長野県では9軒です(2014年11月14日現在。ウィルウェイズ調べ)。勝野総支配人の指揮のもと、清風園が90点以上の常連になる日もそう遠くないのではと感じました。

※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年11月)

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