金属製品
CREST PRECISION株式会社
代表取締役社長 西山泰登 氏
■業界の概要と企業の概要
CREST PRECISIONでは、精密板金を主に、OA機器、半導体製造装置、太陽電池パネル製造装置やLED検査装置などの精密部品製造を手掛けている。
少量多品種生産で月間2500件の新規試作製作を行い、新加工技術によって従来に比べ平均2日の納期短縮が可能だ。さらに近年では海外進出や新規分野に参入など積極的な事業展開を行っている。
就任して4年、ドイツ企業と提携して販路開拓に着手、医療機器分野へ進出、ミャンマーにITセンター開設などの事業展開を次々に実現してきた西山社長に、その戦略と今後の展開を取材した。
■事業と強みと今後の展開
納期とコストを4分の1に...新加工技術で世界のマーケットへ
日本の製造業は全般的に、厳しい状況にあります。人口が減少し工場が海外へ流出しています。ただし視点を変えれば宝の山です。海外からでも買ってもらえる魅力的な物・事・技術があるので、それを世界に売っていけばいいのです。その売れる物の一例が、弊社で現在力を入れているダイレスフォーミングなどの新加工技術です。
この新加工技術では、納期や単価を従来の4分の1にすることができます。さらに、それは単なるコストダウンでなく、弊社にとっても利益が確保できる新技術です。
これにより、たとえばドイツで国内の工場に発注して4週間の納期だった製品も、弊社に発注すれば1週間でできます。その後、空輸で72時間以内に納品できますので、日本へ発注しても納期短縮につながります。さらに輸送費も含めたコストが従来品よりも安いため、コスト競争力もあります。
お客様にとって安く、自社でも利益を確保できる。それがよい製品です。こうした強みを武器に、世界中のマーケットに製品を販売していきたいと考えています。
「不景気がやってこない会社」を目指して、事業基盤強化へ
世界中が不景気になっても、必ず好景気の国や産業分野は存在します。リーマンショックのように突然に不景気に転落するような出来事は、またいつ起こるかわかりません。それに備えるためにも、日頃から販売先を広げ、リスクを分散させておく必要があります。そのような考えから、平成24年にはドイツ企業と提携し、ドイツ国内での販路拡大に着手しました。
今後はドイツでの販売実績をもとに、各国に販路を展開することを考えています。
また、弊社の部品は様々な領域で使われていますが、さらに不景気に強い分野である医療機器領域へ参入するため、同じく平成24年には医療機器製造許可を取得しました。
弊社ではこのように製品や販売網において、リスク分散を戦略としています。不景気でも好景気の国や産業分野と取引があれば、景気に左右されず、業績を安定させることができます。そんな「不景気のない会社」を目指して、事業基盤づくりを進めていきたいと思っています。
「0番手」にこだわって、ミャンマーへ
2年前に欧州への足掛かりとしてドイツ企業と提携しましたが、昨年にはアジア進出としてミャンマーにITセンターを開設しました。中国やベトナムではなく、ミャンマーを選んだのは、他社が進出していないからです。「0番手」は困難も多いかもしれませんが、多くの利益を享受することもできます。だから「0番手」にこだわり、ミャンマーにしました。
また、ミャンマーの拠点は、アジア進出だけでなく、固定費の少ないビジネスへの足掛かりとしても位置付けています。現在は設計開発を行っていますが、今後はソフトウェア開発や領収書のデータ化などの事務代行をするなどオフショア事務の拠点として、サービス事業も展開していく予定です。
これにより、事業領域をさらに分散でき、景気に左右されないための地盤固めをより進めていけると考えています。
■求める人材像は・・・
「未来への偉大なるチャレンジ」をたくさんできるように
ビジネスでは失敗がつきものです。失敗しない方法はただ1つ、「何もしないこと」だけです。しかしそれでは、自分も会社も成長しません。イチローだって、打率は3割です。だから、成功率10割なんて目指さなくてもいいのです。
失敗を「成功の反対」のように捉える人がいますが、そうではありません。失敗は「成功までの通過点」です。自分から前向きに行動を起こして失敗した人には、神様から「成功のカギ」をもらえます。失敗して経験を積むからこそ、成功に近づけるのです。
だから社内では、失敗と言わず「未来への偉大なるチャレンジ」として、まずは行動することを奨励しています。私自身、社長に就任してから様々なことにチャレンジしてきました。
野球でも、打席に立ってバットを振ればボールに当たるかもしれませんが、打席に立たなければ永遠に当たりません。だから「打席に立つ」ことが大事なのです。「○○がやりたい」という夢や目標を持って、行動を起こせば必ず経験として何かが残ります。それを次に活かせば、成功に近づける。弊社では、そういう人を全力で応援していきたいと思っています。
家族に自慢できるような仕事ができるよう、できるかぎり応援します
そして、社員が家族に自慢できるような会社にしたいと考えています。だから、社員の「○○がやりたい」という思いはできる限り、少しでも関連がある分野で実現させたいと考えています。
たとえば、人工衛星の話が持ち上がったときに、白木ならできるのではと思い(※キャリアインタビュー参照)、案件を取ってきました。好きな人工衛星の仕事に携われるというイキイキとした雰囲気は周囲にも伝わり、本人だけでなく周囲や会社にとってもとてもプラスになりました。
また、医療機器分野への参入も、営業担当の「製造許可が取れれば、医療機器分野に参入できる。そしてさらに新規開拓がしやすくなるから取得したい」という意見がきっかけでした。それを機に彼をリーダーに、取得までのプロジェクトを組んで、新規参入の実現に繋がりました。
チャレンジを応援するために、よほど事業領域から外れていることでない限り、「ダメ」とはいいません。夢や目標を応援し、「この仕事は私がやったんだ」という胸を張れるような仕事がある会社にしていきますので、ぜひ夢を持って応募してください。
■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"
「ゆくゆくは、インターナショナル企業でなくて、グローバル企業を目指したいのです。何を言ってるんだって、笑われるかもしれませんが」
と語る西山社長。岡谷から世界展開を目指すその広い視野は、高校卒業後6年間のアメリカ生活で培われたようです。
「小学校5年生の時にアメリカに行って、地平線まで続く道をみて『これくらい広い心を持とう』と子どもながらに感動したんです。それがきっかけで、高校を卒業して、英語も話せないのにアメリカへ行きました。行けばなんとかなると思って」
行けば、何とかなる。やってみれば、何とかなる。その精神で交友を広げ、大学の物理学部を優秀な成績で卒業。実際に何とかなってしまったのが西山社長のすごいところです。当時の多国籍な友人のネットワークは、今でも情報交換に役立っているとか。
インターナショナル企業とは経営陣がほぼ日本人の企業であり、グローバル企業は経営陣が多国籍の企業を差します。西山社長のグローバルな視野と戦略で、CREST PRECISIONがグローバル企業になる日も、決して夢物語ではないと感じました。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年11月)
そんなCREST PRECISION株式会社で働く社員の・・・
第2製造部リーダー 白木克昌さん | ![]() |