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トップインタビュー信州

建築設計

株式会社三友設備設計事務所

代表取締役社長  佐藤忠幸 氏

■業界の概要と企業の概要

どんな建物でも、スイッチ一つで電気が使えて、空調が動く。高層階でもきれいな水が使える。「設備設計」とは聞きなれない単語かもしれない。しかし、「室内を快適な温度にする空調があり、どこでも清潔な水が使えて、明るい光がある」ということは、人が仕事をしたり生活したりするうえで、必要不可欠な当たり前の快適さ。設備設計は、それを実現するためにとても重要な仕事なのだ。

さらにこれからの時代は省エネルギーや、リニューアル・リユース・リファインといった環境に配慮した資源の有効活用も求められていく。今後、ますますやりがいのある分野となりそうだ。

■事業と強みと今後の展開

生活に密着している建築設備の設計を専業とする
県内に少ない建築設備エンジニア集団の企業


建築には、「意匠」「構造」「設備」の3つが大きな要素としてあります。それぞれに専門の設計者が必要ですが、この「設備設計」が私たちの生活や環境に最も密接している要素であり、やりがいがある分野だと思っています。

長野県内では、この建築設備設計を専業とする会社もほとんどが一人親方の世界ですから、どの業界にも言える「高齢化と人手不足」が際立っている業界とも言えます。技術を教えたくても、この業界を志す人材がほとんどいない。業界としての知名度もまだまだ課題がある状況なのです。

そんななか弊社の強みは今、13名の社員がいること。人手があるので、スキルアップや知識をつけるための研修会や勉強会があったときに参加できます。しかし、一人親方の世界ではそうはいきません。この業界ではある程度の規模を持っていることで専門性を高め、人材育成ができる環境にあると考えています。

長野県で、女性建築設備設計者の第一人者を育成できるように

建築設備設計というと、男性の仕事のイメージがあるかもしれませんが、弊社では女性設計者の育成にも力を入れていきたいと思っています。

現在は、経験者の主婦の方にパートで頑張ってもらっていますし、新卒採用では女性も採用しました。

全国規模の建築設備技術者協会の中に地位向上、情報交換を目指して立ち上がった、設備女子会があります。弊社ではまだ女性社員は1人しかいませんが、こうした会にも登録して、参加できるようにしました。この会に参加すると、大手設計事務所の女性の先輩方と情報交換ができます。そのなかで、「私達の時代はこんな時代だったのよ」という話でも聞いて、刺激を受けてもらえたらと。

長野県では、設備設計をやっている女性はほとんどいないと思います。弊社で長野県第一号の第一人者を育てあげたいですね。

建築設備とその設計に携わる建築設備エンジニア(設備設計士)の
知名度と地位向上のために


私自身の社会人としての職歴は、大手スーパーゼネコングループの設備工事会社に勤務することから始まりました。当時は現場代理人として数職種の職人さん達を指揮・管理し、建築現場を作っていく仕事でしたが、その当時から感じていたのは、建築設備の重要性です。どんなに立派な建物ができても、設備がなければ意味がありません。

そうした意識はずっと自分のなかにありましたが、現場に行くと建築設備は他の専門工事などと比べると、工程面や様々な待遇面、工事費の取極めなどでも、随分と冷遇されていたような気がします。

建築業界に就職して約40年間、建築設備とこれに携わる技術者の知名度(認知度)と地位向上がずっと私の中のテーマとしてありました。そんな中で、今から25年程前に建築設計事務所に転職し、建築設備の設計と工事監理に関わってきました。建築設計事務所の中に設備スタッフがいるという会社は、この長野市内には1社もない時代でした。

建築中の現場に行くと、設備工事の工程、作業時間はしっかり確保されているか、そしてゼネコンの現場所長には、設備工事は建物で使い出してから建物の快適性を左右する大切な機能を作っているので、工事時間(工程)の確保をするなどしっかりと面倒をみるように、嫌がられるくらい言いましたよ(笑)。

これも建築設備の地位向上のための手段とし、ゼネコンの監督さんを教育するという意味も当然あったからです。

その中で、ある官庁発注物件の建物で、指導管理し作り上げてきた設備の工事に対し、設備工事会社の現場代理人(監督)が優秀な成績で表彰されるというようなこともあり、表舞台でもようやく認知されるようになってきたことをとてもうれしく思いました。

以来、徐々に建築設備の重要性を周りの同僚である建築意匠担当者達も理解してきています。

6年ほど前から、グループ会社である現在のこの会社を任せられることになりました。建築設備設計に特化した会社で、建築設備の設計と工事監理を主な業務としていますが、スタッフを増員したいと思っていてもやはり建築設備やそれに携わる我々建築設備エンジニアの知名度、認知度がまだまだ低いと感じています。

今は、毎日インターンシップの受け入れなど、その対策に関わるような事ばかりを考えている状態です。

「所詮10数名の会社だから」ではない教育を

大学を卒業して、初めての会社が弊社という社員も数名います。大手企業は大手なりに、研修やマナーなどを教えてもらえますが、10数名の会社を選んだからといってそうしたことが身につかないと思われるのは悔しいですし、親御さんにも申し訳ありません。

だから、弊社でもできる限りの教育をと思っています。社内には、小さなことではありますが、様々な張り紙が貼ってあって、お客様への応対の仕方や、電話の応対などの心がけが目につくようになっています。掃除も私を含めた当番制でしていますし、週に1度、新聞の文字を書く練習もしています。

私もそうですが、今の若い世代は特に字を書く機会が本当になくなりました。しかし、他社に何かの機会で行った際に、社名と氏名を記帳するときにあまりにも字が汚いと、恥ずかしいわけです。そこで、信濃毎日新聞の紙面から一生懸命、丁寧な字で書く練習をしています。紙面を書き写す専用ノートがあるので、それも購入しました。導入した時は「ええ?」と驚かれましたが、やらないという人は誰もいません。

また研修には順番に行くようにしていますし、毎月1回の飲み会もやっています。これには、飲み会の幹事の練習をするという意味もあります。社会人の飲み会は、「世の中の決まり事」みたいな流れがあります。そうした社会人としての常識をきちんとつけることも、大事な社会勉強。10数名の会社ですが、社会常識も含めてできる限りのことは身につけられる環境をと考えています。

今後は、提案型の仕事を獲得してこられるように

弊社はエーシーエ設計を中心とするグループ会社で、建築設備に特化した設計事務所ですが、今の売上の60~70%はエーシーエ設計からの受注になります。しかし、いつまでも協力事務所としてだけ仕事をしているのではいけません。

グループ会社の発注ばかりに依存するのではなく、今後は提案型の仕事もしていきたいと考えています。プロポーザル等に積極的に参加して、当選をし、仕事が入ってくるという成功体験を積めば、「また次も」といい循環が生まれます。それが社内のモチベーションにもつながればと思っています。

■求める人材像は・・・

興味があれば、専攻は問いません

繰り返しますが、私自身、この業界の高齢化と人手不足、特に若手人材に新たにチャレンジしてきてもらえないということに、長年問題意識を持ってきました。

それを解消するためにも、新卒採用の合同説明会にも参加して、学生の方にこの仕事について少しでも知っていただく機会をと思っていますが、まだまだこれから。400~600人集まる合同説明会で弊社のブースに来ていただけるのは1%いくかどうかという状況です。

だからこそ、この建築設備設計の仕事に興味を持っていただけたのなら、大学での専攻も当然男女も問いませんので、是非1人でも多くの方にチャレンジしていただきたいです。大学の建築学科でも、設備設計は専攻科目になっていない分野ですから、知識は入社後が勝負。やる気さえあれば、社員一丸でしっかりと教えていきますので、安心してきてほしいと思っています。

■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"

日本全体が高齢化していく今、どの産業でも高齢化と人手不足は深刻な問題になっています。そのなかでも、佐藤社長のこの業界に対する問題意識は、日本の高齢化が問題視されるずっと以前からあったようです。

「今から30年ほど前、バブル時代の頃は設備設計の会社もたくさんありました。でも皆一人親方。でも皆私と同じ年か、私より上の世代。その時に、これは将来的には設備設計をやる人がいなくなってしまうのではないかと危機感を持ったのです。

確実にやっていけば、人を雇えない金額で受注をしているわけではないと思いますが、誰も人を雇わない。だからこそ、やらなければと思いました。」

こうした問題意識が強いからこそ、若い世代を採用して、知識や経験をきちんと伝承していくということに本気なのだと感じました。そしてだからこそ、「次の人に、知識や経験をしっかり教えていく」という姿勢が、キャリアインタビューに対応頂いた2名の社員の方からもとても強く伝わってきたのだと思います。業界のために、新しい人を育てていく。それが社風として温かく根付いていることを感じた取材でした。

※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年6月)

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