金属製品
飯山精器株式会社
代表取締役社長 寺坂唯史 氏
■業界の概要と企業の概要
飯山精器は、削りのスペシャリスト。複雑な形のものから削りにくい材質の難削材まで、切削加工一筋70年の経験と、常に最先端技術を取り入れていくチャレンジ精神で対応している。
多品種小ロット化する市場ニーズに応えるため、IT投資も積極的に行い、社内体制を整える。その取組みが認められ、経済産業省から「中小企業IT経営力大賞2014」とIT経営実践企業の認定も受けた。2013年6月には、ベトナム工場も稼働し、海外進出も実現。
歴史ある企業が手掛ける、積極的な事業展開。同社の魅力について寺坂社長を取材した。
■事業と強みと今後の展開
切削から研磨までの一貫体制。難削材加工にも対応
もの作りをやっている以上は、自社のオリジナリティを出していきたいと考えています。そのために設計専門職を採用し、これからの時代に活用していきたいと考えています。
弊社の強みは切削だけではなくて研磨・検品まで行った完璧な部品を納められる一貫体制にあります。また、昔から難削材加工にも積極的にチャレンジしてきました。難削材とは、コパール、チタン、インコネル、樹脂や銅、純ニッケルなど削りにくい材料特性を有するものです。
こうした素材を加工できるよう、国から補助金を頂いて、超音波振動切削の加工に民間企業数社と一緒に産学共同研究開発プロジェクトとして携わったこともあります。
このように難削材加工にも対応できることで、多業種のお客様のニーズに対応できるようになりました。以前は大手メーカーへの納入に偏っていましたが、現在では商談会や展示会にも積極的に参加し、顧客開拓にも力を入れています。結果、多品種小ロットの納品体制もでき、常時70~80社のお客様と取引させていただいています。
ベトナム工場も稼働。ASEAN地域への日系企業への納入も視野に
また、主要取引先のベトナム進出をきっかけに、弊社もベトナム工場を設立し、2013年6月から稼働させました。
このベトナム工場の稼働によって、なかなか国内からのアプローチが難しかったアジアのお客様に対して、部品供給ができるようになりました。実際に国内では取引がなかったお客様から、ASEAN地域の工場に対して、ベトナム工場から部品供給をしてほしいという話もいただいています。
主要取引先からの「ベトナムでもぜひ部品供給してほしい」というニーズに応えての進出でしたが、弊社にとっても事業拡大のいい機会だったと思っています。
1人1台ipad miniを支給。IT投資で効率的に
また、弊社ではIT投資にはかなり力を入れてきました。中小規模の企業でここまで投資するのは珍しいかもしれません(笑)。
既存のシステムではニーズを満たせないので、フルカスタマイズして、工程管理や進捗管理を行っています。社員にもipad miniを50台購入して配り、それが現場での入力端末装置になっています。
現場社員に1人1台支給することで、二次元バーコードでの図面の管理や過去のクレーム情報などの共有ができるようになります。
また、進捗システムにはお客様が直接アクセスして、お客様自身で納期や進捗状況を確認するとこができるようになっています。弊社では1品から請け負う、多品種少ロット納品体制を行っていますので、この導入で多くの細かい問い合わせに対して、システムで対応できるよう現在構築中です。
このシステム体制を整えるまでに3年かかりました。最終的には原価管理や、社員の日報管理、材料管理を行うことも視野にいれて開発を続けています。
無駄に時間がかかっていた業務管理をITで補い、事業価値の高い現場の仕事に注力する。そのために、長い目でみればIT投資は役に立つと考えています。
海外進出が「やってやるぞ!」という気持ちにつながるように
現在、生産を海外で現地生産化しているお客様が多くなりました。特にASEANに進出しているお客様が多くなり、それに伴って我々部品メーカーも現地生産の比率が高まってくると思います。
海外進出は初めてのことであり、我々も「世界で活躍するぞ」という気持ちの一方でおっかなびっくりなところも正直あります。でもこれはチャンスですので、全社一丸になって社業をかけてやるぞ!という気持ちで取り組んでいきたいですね。
ベトナム工場とはスカイプを活用して、毎日のように打ち合わせができます。これもオープンな環境で行っているので、ベトナム工場の状況は社内でも共有できているかと思います。
今年は創立70周年で、ベトナムへの研修旅行も企画しています。若い世代の社員には、ここから世界を感じることによって、また50~60代の社員は飯山精器という名のものとに若い世代が海外で頑張る姿をみることによって、一人ひとりの「やってやるぞ!」という気持ちにつながればいいですね。
■求める人材像は・・・
謙虚であること。それだけでいいと思います。
弊社が人材に求めることは、謙虚であること。それだけでいいと思っています。
弊社の場合は、1つの機械に1人の担当者がつきます。だから、その人の考え方次第で、その機械の性能がどれだけ発揮されるか決まるというような部分があります。本人が持っている素養と機械の素養を出し合って、いい成果をだせるような、そんな人間を多く育てていきたいですね。そのためには、新しい技術に対して積極的に知り、チャレンジしていく姿勢が必要。それを最大限に発揮していくためにも、謙虚であることが一番なのです。
技術は日々進化しています。例えば、従来のような高周波の音波の振動で削る技術だけでなく、低周波の振動で削る技術が出てきています。また、通常は熱処理し研磨して仕上げる加工を、切削加工で仕上げられるような新しい刃物も開発されています。
こうした技術にキャッチアップし取り入れることで、今まで現場で困っていたことが解決されることになります。だから、日々の新しい技術に対して、謙虚に、積極的に勉強する努力が必要なのです。
私もそうですが、新しい物が好きな方や、こうした一工夫を取り入れたり、挑戦したりするのが好きな方にぜひ応募していただきたいと思っています。
■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"
今はベトナム工場を軸にした海外展開やIT投資などを積極的に行うなどの勢いを感じますが、会社には厳しい時期もあったようです。
「大手メーカーへの納入を長年行ってきたのですが、その工場撤退で、当時200名だった社員を50名まで削減しなければならなくなりました。
それが本当に一番辛かったですし、教訓になりました。リストラはやってはいけないもの。だからこそ、もう二度とあんな思いをしたくないと思っています。
だからその出来事をきっかけに、1社に偏った受注形態を見直しました。当時の顧客数は両手あれば足りるほどでしたが、今は契約社数100社以上、実際に稼働している顧客数でも70~80社あります。そしてそのなかで、これぞというお客様に対して深堀をしていければと。」
そのために、今は社長も自ら全国各地へ営業に飛び回っているそうです。ベトナム出張時には、ベトナムでも営業は欠かさないとか。社長は技術分野出身。営業は得意分野ではないのかと思いきや...。
「50~60人の会社だから、社長が動かないと。営業はね、トークじゃないんです。誠意と誠実さ。それに尽きます。それがあれば、トークが下手でも通じるんですよ」
教訓を生かした寺坂社長のこんな積極的な姿勢が、会社の様々な取組に繋がっているようです。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年6月)
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製造技術課 武内和也さん |