本文へジャンプ

トップインタビュー信州

ホテル・旅館

株式会社明神館

専務取締役  齊藤忠政 氏

■業界の概要と企業の概要

標高1,050m。これより上に民家はなく、周囲一帯が八ヶ岳中信高原国定公園となっている地に佇む一軒の温泉旅館。

周囲の豊かな自然を生かし、飲み水は目の前に流れる沢からくみ上げる。地産池消で、地元の野菜を多く使った体に優しい料理、渓流を眺める露天風呂、スタッフの行き届いたサービスに利用者の評判も高く、リピーターも多い。

口コミサイトでも、松本の旅館で第1位の温泉旅館「明神館」。さらに松本城から最も近いホテル「松本丸の内ホテル」を運営する、明神館のサービスの極意とは。

■事業と強みと今後の展開

自然を生かした、和のリゾートを目指して

明神館は1,050mの国定公園の一軒家で、目の前には飲み水になる川が流れています。こうした立地を生かし、自然のマイナスイオンなど目に見えないものを吸収できるような「和のリゾート」を作りたいと思い、この10年間やってきました。

約10年前に私が家業を継ぐために戻ってきた頃は、グループ旅行の受入が多かったのですが、人口減と旅行の嗜好の変化でそれが下火になるのは明らかでしたので、個人で来ていただける宿を作りたいと。そこでコンセプトを「和のリゾート」として改修を行ったのです。

基本は自然を大切に。そして地産地消で、地元の野菜を使った料理でヘルシーに。クシマクロビオティックのアドバイザーの資格をもっているシェフがおりますので、それを食事に生かし、陰と陽のバランスを考えて、体にいいものを食事としてとっていただこうと。

こうした「ここにしかない価値」を追及してきたことが、強みだと考えています。

バリの高級リゾートで知った、日本の素晴らしいところ

こうした「和のリゾート」の発想は、バリ島のリゾートからヒントを得ました。大学時代、教授に「観光でオススメの場所があれば見てきたい」と尋ねた際に、勧められたのがバリ島だったのです。

最初は後進国だし、何か学ぶものがあるのか?と思っていました。そして当時アルバイトで貯めたお金で、1か月ほどバリ島に滞在し、最後だけ1泊約400ドルの最高級ホテルに宿泊したのです。

そこで本当に驚きました。ホテルのコンセプトが、日本のリゾートホテルとは全く異なっていて、ホテル自体が自然を生かした設計なんです。東から西に向かう太陽のめぐりや、風の通り、風水などを考慮し、"見せ場"がそこかしこにあって、ゆったりと楽しめるようになっている。それに驚いて、時間があればバリ島に勉強しに行っていました。

そして、世界有数の高級リゾート・アマンリゾートの経営者にお会いする機会があったので、どうしてこんな発想になるのか質問したのです。そしたら言われました。

「君は、日本人なのに何をいっているんだ?僕は日本から学ぶことでこのリゾートを作ってきた。もっと日本のいろんなものをみて勉強したほうがいいよ」と。

そして日本の持つ素晴らしさを再認識し、日本の感性を味わう「和のリゾート」を作ろうと思ったのです。

世界の方が安心してお泊り頂けるように

人口減はこの2~3年でも進んでいます。観光業界では、人口減は死活問題です。それを見据えて、7年前から海外にシフトし、海外営業に力を入れています。

それは日本の人口減をカバーするという意味だけではなく、日本の「旅館」という文化をより多くの海外の方に味わっていただきたいからです。日本の旅館は独特のもの。泊まったら2食ついていますし、畳や布団、浴衣など、多くの日本文化を感じることができる施設だからです。世界各国どこでも、外資系大手ホテルチェーンはあるけれど、旅館は日本にしかありません。だから、そのPRに力をいれてきました。

もちろんPRするだけでなく、世界のお客様に安心して来ていただけるようでなければいけません。 そのため、サービスの質の裏付けとなるようなものは積極的に取得してきました。それが、ルレ・エ・シャトー(※注参照)への加入や、デンマークの基準に則ったエコロジー活動に繋がっています。

お客様が幸福感を感じるサービスをするために、価値観の共有を

ルレ・エ・シャトーの条件には、「その施設にいったら、幸福感を感じる」という項目があります。お客様に幸福感を感じていただけるようなサービスのためには、社員がお互いに価値観を共有することが大切です。それぞれ生きてきた背景が異なるので、同じサービスを提供するには、同じ価値観であることが不可欠だからです。

そのために今は、婦人画報や家庭画報、ヴォーグなど古い雑誌や、雑誌のスクラップを持ち寄って、自分たちのお客様はどんな方なのか、イメージの共有をしています。どんな車で、どんなバッグを持っていて、どんな年代なのか。その方が満足していただけるサービスは何なのか。ルレ・エ・シャトーとして自分たちの友人や大切な人をもてなすとすれば、どうするだろう?と。

スタッフのサービスがいいというお客様からの声も頂いておりますが、それはこうした価値観の共有からなのです。会釈などサービス作法は、マニュアルで身に付きますが、それ以前の考え方が重要ですからね。今後も、ロールプレイなどを通じて、基準を共有していきたいと思っています。

今年は大改装の年。自然を中心に。より料理が楽しめるように。

前回の改装から10年経過し、今年1月から新たな大改装が始まりました。この改装では、お客様にわざわざ、山奥まで来ていただけるような「明神館にしかない価値」の追求を目指しています。

10年前の改修では、和のリゾート目指して私がコンセプトを描きましたが、今回は社員にもどんな価値を提供すべきかを一緒に考えてもらいました。結果、自然を中心に、調理人とお客様がより近くなり、食材をより魅力的に見せられるようにしようと。例えば、手造りの麹を作っているところが見えたり、熟成肉がつるされてあったり、テラスでスモークされていたり...と、この改修で、食事をすることがより楽しくなる、テーブルに上るまでの"ストーリー"が感じられるような、新たな明神館が生まれます。

料理も、地元の食材を生かした日本料理を提供していきたいと考えています。明神館のお客様は、美味しい料理を食べるために京都でも東京でも好きなところに行ける方ばかりです。では、ここでなければいけない料理とは何なのか?それを追及していきたいのです。

また、松本丸の内ホテルは松本城に一番近いホテルです。お客様が長期滞在できるような展開を考え、東京や海外と松本をつなげ、地元に波及させるという効果を作っていきたいと考えています。

※注:ルレ・エ・シャトーとは

1954年にフランスで発足した世界的権威を誇るホテルとレストランの会員組織。
2014年には世界64か国515のホテルとレストランが加入している。心のこもったおもてなし、洗練された魅力あるスペース、特色や個性あるスタイル、落ち着きやリラックスできる場所、質の高い料理の5つの項目を満たさなければならず、ただ高級なだけでなく、卓越性と独自性を兼ね備えていることが求められる。申請した場合は、インスペクターが上記の項目のほかに、他にはないユニークさ、行くことによって感じられる幸福感や非日常感、フレンドリーなサービスなどをチェックしレポートを作成。世界で21人の理事の全員一致によって認証される。ミシュランでは2つ星以上に該当するレストラン、ホテルが多い。

■求める人材像は・・・

松本が好きな方と一緒に、松本から世界に発信したい

一番大事なのは、松本が好き、長野県が好きということです。

私たちは信州の自然や食材を素晴らしいと思っていますし、「信州松本」を世界の方に知ってもらえるように、松本から世界に発信していきたいと本気で考えています。

ですからこの思いに共感し、一緒に挑戦してもらえるような人がいいですね。異業種や未経験からの転職でも全く構いません。松本が大好きであれば、Iターンも大歓迎です。

「旅行に来ていて、松本が大好きになってしまった」私達のお客様にも、そんな思いで松本に家を買ってしまった方がいらっしゃいます。サービスをする人間が、松本が大好きでなければその良さはお客様には伝わりません。だから、それくらい松本の四季や自然や食材を、愛する人がいいですね。

■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "専務"

私事ですが、以前、東京から松本に遊びに来た友人がいました。自宅に泊まってもらおうと思いましたが、「せっかく松本に行くから、明神館に泊まりたい」というので、車で送っていきました。

ロビーで友人が「一緒にお風呂に入っていけたらいいのにね」と話すと、従業員の方が声をかけてくれました。「通常は日帰り入浴はやっておりませんが、よかったらご一緒にどうぞ」と。フレキシブルな対応のおかげで、本当に楽しいひとときを過ごせました。

「お客さまに喜んでもらうためのサービスは、その場で自分なりに考えて、と任せてあります。フレキシブルな対応は、マニュアルではありませんから。そういった価値観を共有することはとても難しいし、時間がかかります」

と、齊藤専務はおっしゃいます。

「松本に行くなら、明神館に」。私の友人のように、お客様が宿泊することそのものが楽しみに来てくださる施設で接客をするのは、最高のやりがいになるのではと感じました。

※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年5月)

そんな株式会社明神館で働きたいと思ったら・・・

【現在募集中】 フロント 中途採用情報
【現在募集中】 レストランサービス 中途採用情報

そんな株式会社明神館で働く社員の・・・

明神館勤務 R.N.さん キャリアインタビュー
松本丸の内ホテル勤務 K.N.さん キャリアインタビュー

  • しあわせ信州
  • ふるさと信州寄付金
  • 広報ながのけん
  • NAGANOものづくりエクセレンス
  • 社員の子育て応援宣言
  • おしごとながの

pagetop