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トップインタビュー信州

精密機器

株式会社平出精密

代表取締役  平出正彦 氏

■業界の概要と企業の概要

第二次世界大戦以前から諏訪・岡谷地域に蓄積された航空機器の鈑金技術を基盤に、1964年に創業。日本で初めて「精密鈑金」という言葉を使用し、金型なしの精度の高い鈑金技術を認められ、事業を成長させてきた。

多岐の事業領域にわたるベース産業に位置付けられ、半導体製造装置や医療・医薬関連機器、産業用印刷機、交通システム関連機器等の部品を、試作開発サポートから少・中量の量産まで行う精密鈑金加工メーカーであり、また、その技術をオリジナル製品にも活用する洗浄機メーカーでもある。

2012年にはタイに新工場を設立。海外に工場展開する日系企業への供給も始めている。創立50周年となる2014年には「頑張る中小企業・小規模事業社300社」として、経済産業大臣表彰も受賞した平出精密の強みとは。

■事業と強みと今後の展開

土地柄を生かし、岡谷ならではの強みを生かした精密鈑金

諏訪岡谷地域には、歴史的にもの作りのDNAがあります。古くは2万年前、ここの地域の自然が生み出した黒曜石を矢尻に加工し日本中に出していました。それから、桑の葉で育てた蚕からシルクを作り、世界一の生産地ともなりました。このように、もの作りに力を入れてきた土地のDNAに根差しているということが重要なのです。

近年では、水がきれいであることや山中だから製品が錆びないという環境の利や、都会から離れた場所だからこそユニット化された製品が必要という必然性から、精密業が栄えてきました。

そして第二次世界大戦前から蓄積された航空機鈑金技術を礎に、精密機器メーカーの試作開発を精密鈑金で支えることで、弊社は発展してまいりました。試作開発品への対応として、少量多品種生産を得意としています。金型を使わずに高い精度を実現できるのが強みですが、それもこの岡谷ならではのもの作りのDNAがあるからこそだと考えています。

人は成長するために生まれてきた。人を最も成長させるのは仕事。

こうしたもの作りを支える技術者には、人格形成が何よりも大切だと考えています。

人は成長するために生まれてきました。人生に成長する機会はいろいろありますが、最も成長させてくれるのは仕事だと思います。仕事には必ずお客様がいらっしゃいます。そこに制約があるからこそ、「知恵」を使います。

だから仕事を通じて、よりよい人間に成長していけるのです。弊社では、技術者育成の理念として、「人間性」「技術」「技能」と3つの調和をあげています。「知恵」はこの3つの融合から生まれると考えています。

そのため弊社では新人研修から始まり、10年20年と人材育成をしていくプログラムを組んでいます。常識や礼儀もきちんと身につけていただきます。今日では、信州大学大学院修士課程の講座40時間学びに来ていただき、48単位中2単位を差し上げるまでになっています。

これらの成長するということは、その人の中にもともと「種」があるのです。自分のなかに受ける刺激や情報に対して共鳴できる「種」がなければ、花を開かせることはできません。何かを自分の中に入れるのではなく、自分の中にある「種」をどれだけ開花させることができるかが、人間としての成長につながっていくのです。

日本で磨きあげた技術を、海外へ

1980年代に最大の取引先が海外進出を決めたことに対し、弊社でも中国やインドネシア、タイなどから研修生を受け入れ、技術者を養成してきました。

そして2011年、主要取引先がタイに進出を決めた際にチャンスと受け止め、タイへの進出を即座に決めました。2015年にはASEAN統合がありますから、それまでに現地の工場が軌道にのるタイミングとしては非常によかったのではないかと考えています。

タイの工場は2012年より稼働し、母国に戻った研修生が核となって進めています。日本でも最高レベルの最新加工機をタイ工場にも設置し、±30ミクロンという高精度が実現できています。タイには多くの日本企業が進出していますから、現地でそのニーズに応えていける体制が整いました。

また、タイでは自社オリジナル製品のインライン型洗浄機「スパイラルウォッシュ」も、この拠点を活かし、タイに進出した日本の自動車部品メーカーに向け、販路拡大を目標にしています。「スパイラルウォッシュ」は水で洗浄できる地球にやさしい時代にマッチした洗浄機です。お客様から信頼を得られるようになり、よりリーズナブルな価格で拡販できるよう、技術革新をしていく予定です。

弊社ではインドネシアにもプログラム拠点があります。今後はプログラミングをインドネシアで、日本でそのチェックをし、タイで加工をする流れができれば、日本と同等レベルの加工がタイでできることになります。これはお客様にとっても大きなメリットになります。

また今後は環境エネルギー分野や、医療・福祉・介護分野の機器開発にもお手伝いできるように技術革新を図っていきたいですね。

■求める人材像は・・・

"満たされた自分"であること

求める人材は、自分を満たす感覚を積み重ねていける人です。人は自分を変えようとしますが、「変える」のではなく、今ある自分に足していくようなつもりで経験を重ねていくことが大切なのだと思います。

弊社で大切にしている心構えが「今 ここ 100% 構えなし」です。過去を振り返ると後悔します。周りを見ると怖くなり、未来を考えれば不安になります。そうではなくて、今のこの目の前に100%集中する。それによって、過去の経験が今に生き、周囲が助けてくれます。そして未来は常に「今」の連続なのです。今、この目の前のことに集中し100%の力を出し切ることで、後悔や怖れや不安がなくなっていくのです。

今に集中して100%、全力を出す。自分の中の可能性を信じてやっていける、そんな方を求めています。

■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"

創業者でもある平出社長のお父様は、とてもユニークな方だったそうです。道端で突然寝転んで、心配して車を止めて声をかけてくれるタクシーの運転手に、「お前も寝てみてみろ。きれいな青空じゃないか」ということもあったとか。引退後も会社に出社すると会社が明るくなるような方だったそうです。

「そんな父から、仕事は明るく、楽しく、面白くなければいけないと教わりました。卓越した技術は、技術者が楽しんでいないとできないと。

私も夜中の2時頃に父が仕事をしている姿を見て、大変だなとよくみたら、実に楽しそうにしていたのを覚えています。」

楽しんでいなければ、いい発想はでない。取材前の昼休みには、キャッチボールを楽しむ社員の方が見えました。屋上にはバスケットコートもあります。平出精密の高度な精密鈑金の技術を支えるのは、そんな「仕事を楽しむ」精神なのだと思いました。

※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年4月)

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