金属製品
株式会社エクセル
代表取締役 滝澤幸広 氏
■業界の概要と企業の概要
「ステンレス創作工房」として、階段や手すり、看板、門扉、キッチンシンク、雪囲いなど他社ではできないような加工や、一点物の製造を手掛ける。他社では断られてしまうような加工や、短納期の仕事も請け負えるのが強みであり、顧客に支持されている要素でもある。
「オーダーがあれば何でも作ります」という気概で作られる、ステンレスの特性を生かした企画と製作を一貫して行う同社の製品は「作品」と呼ぶのにふさわしいものも多い。
こだわりのモノ作りを展開する同社には、人に対するもう一つの「こだわり」があった。
■事業と強みと今後の展開
単純作業ではなくて、難しいところで勝負する。だからこそ人が大事。
弊社はステンレス創作工房として、1つ1つの加工を職人が作っています。単純作業では生き残れませんから、「他社では断られたものも作れる」「急ぎの仕事でもできる」といった難しいところで勝負しないといけません。
だから、「人」が強み。そのため弊社では人材の教育にとても力を入れています。社外研修への参加はもちろん、OJTも日常的に行われ、全行程を一人が担当してできるように育てていますが、なかでも一番力をいれているのは価値観の共有です。
飲みにケーションなど社外でのコミュニケーションの場を設けることもそうですし、また、早朝勉強会として、言葉1つ1つに対して社内で共通認識が持てるようにしています。
例えば「整理とはどういうことか?」と聞くと、弊社の社員は「捨てること」と答えでしょう。「愛とは?」と聞けば、「関心を持つこと」と答えるはずです。こういう認識を統一して同じ言語を話しているけど、意思が伝わらないことがないようにしています。
社長との意思疎通がスムーズで、社内でコミュニケーションがしっかりとれる。それが働きやすくやる気になる環境ではないかと思うので、そのための環境整備はいろいろ取り入れていきたいと考えています。
「誰も手伝ってくれなかった」経験をいかして
こうしたコミュニケーションがとりやすい環境作りを試行錯誤するのも、過去の痛い経験が教訓になっているからです。
私は家業であるこの会社に20代で中途入社しました。真面目に必死で仕事をやっていたら、数年で仕事も随分できるようになりました。そんなとき、どうしても一人では間に合わない仕事があり、周囲に「手伝ってほしい」と言ったら、「それはできない」と言われたんです。
何故手伝ってもらえなかったのか。当時は分業制だったことも、もちろんあります。しかし仕事ができるようになってこだわりも強く、ズケズケとした物言いで怒ってばかりだったので、「困ったら手伝う」という関係が周囲とできていなかったのです。
これではいけないと。それから27歳で専務になったこともあり、いろいろ勉強を始めました。
「どうしたら人が頑張れる環境になるか」を考えて、試行錯誤して
しばらくは試行錯誤が続き、上手くいかないことが多かったのですが、ある時誰かに「人はやれと言っても、やらないのがまともだ」と聞いて、すっと腑に落ちたのです。今まで他人のせいにしていましたが、うまくいかないのは自分のせいだと。
そのときに「どうやったら、やってもらえるか」ではなく、「どうしたら、自発的に頑張れる環境になるか」と視点が変わりました。すると楽になり、いろいろ試してみようと思えるようになったのです。
人間は強制力だけでは動きません。だから、やる気を生む環境作りが大事なのです。環境整備で掃除をきちんとし、モノの整理整頓をして職場を快適に保つこともその1つ。他にも飲み会などでコミュニケーションを強制的に(笑)とることや、全員と月に1回面談しているのも、すべてそのためです。
私も昔はそういうコミュニケーションは苦手でしたけどね。でも3~4か月くらい飲みにいっていない社員から「最近飲みに行っていないですね。また行きたいですね」と言われると、そんな環境ができてきたのかなと、嬉しく思います。
現業を活かすことを軸に、3つの事業展開を計画中
今後の事業展開は、現業を活かすことを軸に大きな3つの柱をつくることを計画しています。
1つは販売事業。今はお客様のオーダー通りに作るというスタイルですが、これからは自分たちで商品をつくって販売していこうと。
2つ目は、店舗のキッチンなど、厨房機器関連の強化。飲食業界への注力です。弊社の技術ならではの他にはない厨房設備を作り、オープンなショールームをつくって販売強化につなげていけたらと考えています。
これは今でも厨房機器に関してはオーダーが入りますので、いくつかやってみて評判のいいものを中心に広げていく方向です。
3つめはそれらに伴う営業の強化です。そのためにも、新卒採用も力をいれていますし、これから入社する方には、将来は営業をという話をしています。
中小企業は世の中の変化に合わせて、柔軟に変わっていくことが大切です。弊社も創業当初は板金業でしたが、市場の変化に伴い、事業を変化させてきました。柔軟に変わることで生き残るのです。かといって、全く畑違いをやると失敗しますので、周辺事業に徹しながら、変化に対応して柔軟に変わっていければと思っています。
■求める人材像は・・・
やる気さえあれば。
今社内で活躍しているのは、数年前は随分反発も多かった社員です。自分もそうでしたが、反発するのは、会社をよくしたいという思いがあるからこそなんですよ。あんまり反発されても困ってしまいますが、ある程度の反骨心は大切だと思えるようにもなりました。それはやる気があるということですから。
これから入社する方に反骨心は求めませんが(笑)、弊社の製品に興味を持ってやる気がある方を求めています。興味さえあれば、育てていきますから。ですので、必要な経験もいりません。やる気と興味を持って、ぜひ来てください。
■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"
取材中、ホワイトボードに「社員塾」という文字がありました。これは何かと聞いてみると、東京の経営コンサルタントの元へ滝澤社長だけでなく社員さんまで勉強にいっているとか。何気なく伺ったその研修費用は高額なものでした。中小企業で、これだけの研修費用をかけている企業はそうありません。
「確かに弊社は、大きな会社ではないですが教育研修費はたくさんつかっています(笑)。しかし、東京に研修に行くことでメリットもたくさんあるのです。例えば同じことでも私が言うのと、第三者が言うのではまた違います。
さらに、東京に行くと、様々な建築物や装飾品が街に溢れているので、感性も刺激を受けます。工場の中ばかりだと、井の中の蛙になってしまいますから。
普通に生活をしていると、なかなか長野から東京に行く機会がありません。その機会を作るという意味でも重要だと思っています」
と語る滝澤社長。その言葉に「人で勝つ」ための、人材育成にかける並々ならぬ思いを感じました。
※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年4月)
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