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トップインタビュー信州

ガス・エネルギー

ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社

代表取締役  伊藤 敦 氏

■業界の概要と企業の概要

南アルプスと中央アルプスに囲まれた自然豊かな南信州・駒ケ根。豊かな自然環境に恵まれたこの地において、自然エネルギーの分野で次々に新しい事業モデルを生み出しているのがネクストエナジー・アンド・リソース社だ。

2003年12月、風力・小水力発電の事業からスタートし、その後太陽光発電パネルのリユース事業をはじめ、オフグリッド(独立蓄電型)事業、レンタル事業、グリーン電力証書事業、そしてグリーン電力供給サービス事業など、独自の事業を展開してきた。

自然エネルギーへの関心の高まりとともに年々売上を倍増させ、今年度100億円以上の売上を見込む同社の強みとは。

■起業した思いと事業の強み

地球環境の実態を知った20代。「自分も何かをしなければ」

建設会社の経営者の二男に生まれ、小さな頃から兄と共に将来は父の会社を継いでいくという話を聞かされて、私もそのつもりでいました。

しかし24~25歳の頃、「地球村に生きる」という本に出合いました。この本には地球環境の悲惨な実態と、その環境改善に向けて頑張っている人のメッセージが書かれていました。本当に感動して、本が濡れるくらい泣いて、それまで見えなかったものが見えるようになりました。

著者にも会いに行きました。「頑張れば、頑張った分だけ、後世に生きる人が安心して暮らせるようになる社会を残したい」。自分のなかに「生きる軸」が見つかったのがこの時です。

自然エネルギーへの思いを募らせ、35歳で起業

自分自身の『軸』が明確になったその後、自然エネルギー事業への熱い思いは高まり続けました。

そして35歳のときに転機が訪れます。建設業界に陰りが見え始め、新しい事業へのシフトが必要となってきました。この時に『今だ』と思い、自然エネルギー事業を提案したのです。

当初は会社の一事業部として行うことも考えましたが、どうせやるなら、と自ら出資して起業しました。立ち上げたときは、本当に「想い」だけ。何も無い中での起業でしたね(笑)。

市場が大きく変化し、この2年で売上は20倍に

創業当初に手掛けたのは、小水力発電です。これは国土交通省のモデル事業となりました。その後は、次々に新しいモデルに挑戦、中古パネルの販売やレンタル事業などに取り組んできました。

そんな中3.11の東日本大震災が発生。社会の自然エネルギーへの関心が高まりました。その後固定価格買取制度が制定。この2年で、売上は20倍になりました。

現在の売上の2本柱の1つとなるのが、ソーラーパネルの製造販売。弊社では、中古販売で培ったソーラーパネルの品質管理のノウハウを生かし、海外の工場で委託生産しています。だから、低価格で高品質なモジュールが提供できるんです。

また、気候などに対応した細やかな設計ができることも、大手企業にはできないメリットとして支持を頂いています。たとえば、沖縄では弊社のパネルが市場の4割を占めます。沖縄は台風が頻繁に上陸するので、台風対策として特別な補強が必要になってくるのですが、お客様の声を的確に反映させた製品開発が、大きなシェアの獲得に繋がりました。

今後も多くの方が自然エネルギーを選択してもらえるよう、開発を進めていきたいと考えています。

9年間の"不遇"を乗り越えてきたからこそ、今がある

2年で売上が20倍というのは、順調に聞こえるでしょう。しかし、創業から9年間は本当に厳しい時代が続きました。利益が出なくても事業としてのベース作りは必要ですし、同時に業績も作っていかなければいけません。周囲からも「そんなことは無理だ」とよく言われていました。

しかし、私も従業員もこの厳しい期間に鍛えられたからこそ、市場環境が大きく変化したときに売上を伸ばすことができたのだと考えています。

弊社では「クレド」という従業員の信条を掲げています。創業前から、私が会社として大切にしたいと考えていたことを明文化したもので、厳しい時期もこのクレドを大切にしてきたからこそ、乗り越えてこられたと思っています。

会社が急成長し、従業員も急速に増えている今、経営者としての想いを伝え、会社の想いを一つにしていくためにも改めてこのクレドの重要性を感じています。

■今後の展開

自然エネルギー市場の更なる成長分野に注力を

自然エネルギーへの関心の高まりや、固定価格買取制度の影響で、急速成長した自然エネルギー市場ですが、来年以降はこの成長率も鈍化するといわれています。

しかし、すべての分野で鈍化するわけではなく、縮小する分野と、まだまだ成長が望める分野があります。例えば、現在伸びている分野はメガワットソーラー関連ですが、今後はそれより少し規模の小さい、工場の屋根や駐車場程度の空きスペースで太陽光発電を行うようなミドル市場にチャンスがあります。

また海外での展開や、バイオマスエネルギーなど他の自然エネルギーへの取組みなど、サービスの地域と分野を広げられる余地もまだまだあります。

「自然エネルギーを普及させ、永続できる社会の構築に貢献する」という志を胸に、このような取り組みで今後も歩み続けていきたいと考えています。

■求める人材像は・・・

自ら考え、調整し、勉強し、行動できるように

自然エネルギー事業はまだまだ新しい価値やサービスを生み出していく必要があります。どこまで行っても楽にはならないでしょう(笑)。そのなかで、鍛えられる感覚や成長する感覚を楽しいと思えることが大切だと思っています。

だからこそ、与えられた仕事をやるのではなく、自ら考えて、周囲を調整し、必要なことを勉強し、行動できる人を求めています。

エネルギーの種類は化石、原子力、自然と3種類あります。化石エネルギーは、地球の温暖化につながります。原子力発電の廃棄物は、後世への負の遺産となります。だからこそ自然エネルギーが残っていくように、多くの方が選択してもらえるようにするのが使命だと思っています。

こうした同じ想いを持つ方に、ぜひチャレンジしていただきたいです。

■ウィルウェイズが語る、エピソード オブ "社長"

同社のビジョンは、「2031年までに私たちが係る自然エネルギー事業で、原発1基分(100万kW)の発電量に相当する電力量を供給できる設備を普及させる」というものです。

伊藤社長は創業当初から、このビジョンを語っていたそうですが、最初の頃の周囲からの反応はとても冷ややかだったとか。

「講演など様々な場所でこのビジョンを語ってきましたが、"そんなことできるの?"とか"バカじゃないの?"と、誰も本気にしていませんでした。しかし、今では"それじゃ少ないんじゃないか?"と思っているんですよ(笑)」

「生きる意味を見つけると、周りに何を言われても、周囲の環境がどうなってもブレなくなる」と、伊藤社長は言います。社員には同じ想いの方も多いようです。このブレない思いこそが、同社の最大の強みではないかと感じました。

※記事の内容及びプロフィールは取材当時のものです。(2014年3月)

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